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障がい者の親亡きあと

こんにちは。
ジェイアイシー九州の髙木・吉野です。
日々、障がいのある方々のご家族や福祉に関わる皆様にお役立ていただける内容をテーマに情報をお伝えしております。

今回のテーマは「障がい者の親亡きあと」です。

障がいのある子が親亡きあとも変わらない環境で変わらず暮らし続けるために、どのような備えが必要なのでしょうか。

生活や医療費などのお金の管理、相続、住まい、生活、就労など― 不安要素はさまざまです。

親亡きあとへ備えるための5つのポイント
・お金が定期的に入る仕組みを整える(年金、信託、就労など)
・お金が子どもにキチンと渡る仕組みを用意する(信託、成年後見など)
・住む場所を確保する(グループホーム、入所施設、家など)
・生活費や医療費などの不意の出費に備える仕組み(信託など)
・子どもが困ったときに頼れる環境を確保する(親族、成年後見・弁護士など)

お金の管理と日常生活のサポートへの備えは不可欠です。
お金の管理 ・・・ 収入(障害年金、就労、いろいろな信託)/支出(生活費、医療費など)
日常生活のサポート ・・・ 成年後見制度

お金の管理をするうえで成年後見制度の利用を検討してみる必要があるかもしれません。
親亡きあとにお金を残し、また管理するための方法のひとつとして「信託」があげられます。

民事信託(家族信託)・・・家族間で信託契約を結ぶ
商事信託・・・生命保険信託や特定贈与信託など、銀行等の専門家と信託契約を結ぶ

今回は②「生命保険信託と特定贈与信託」についてみていきます。
財産の管理方法や非課税枠を活用した運用等、将来のためにお役立ていただけますと幸いです。

 


◇生命保険信託

生命保険信託とは…

契約者(委託者)が亡くなったあと、未成年者や障がいのある子(受益者)に毎月一定額ずつ渡したい、
また代わりに財産を管理してほしい、保険金を社会に役立ててほしい・・・
このようなニーズに応えるために、信託銀行等が保険金を受け取り、
あらかじめ決められた人に、決められた方法で管理し、金銭を交付することができます。
家族間で運用する家族信託(民事信託)とは違い、信託銀行などの専門家に任せたい場合などに活用できます。

生命保険信託の仕組みについてみていきましょう。上の九州一家が今回生命保険信託を活用するご家族です。

 

~生命保険信託のしくみ~

【主な関係】

①-1生命保険の契約者(以下委託者)は、生命保険会社と生命保険契約を締結します。
①-2[委託者]は、信託銀行等[受託者]と信託契約を締結し保険金請求権(金銭債権)を信託します。

②-1[委託者]がお亡くなりになった後、②-2信託銀行等[受託者]は生命保険会社に死亡保険金を請求し、
②-3生命保険会社は信託銀行等[受託者]に保険金を支払います。

③信託銀行等[受託者]は、指定された[第一受益者]に金銭を交付します。
④[第一受益者]がお亡くなりになった後、信託銀行等[受託者]は、[第二受益者]に金銭を交付します。

⑤指定された[受益者]が亡くなるなど信託が終了した際に受託者の元に残った財産は[残余財産帰属権利者]に交付されます。残余財産帰属権利者が不在の場合は、指定をしておけばお世話になった社会福祉法人施設などへの寄付も可能です。


◇特定贈与信託

特定贈与信託とは…
障がいのある方の生活の安定を図ることを目的に、親族の方などが信託銀行等に金銭等の財産を預け、
信託銀行等がその財産を管理・運用するものです。
特定障がい者の方の生活費や医療費として定期的に金銭が交付されます。
万が一、ご両親など贈与した方がお亡くなりになっても、信託銀行等が引き続き財産を管理・運用し、
生活のための資金を交付するため、親亡きあとの将来の生活にも備えることができます。

特定贈与信託の仕組みについてみていきましょう。特定贈与信託の受益者は『特定障害者』となります。

※特定障害者とは
・重度の心身障がい者(特別障がい者)
・中軽度の知的障がい者および障がい等級2級または3級の精神障がい者等(特別障がい者以外の特定障がい者)



~特定贈与信託の仕組み~

【主な関係】

①[委託者]は、信託銀行等[受託者]と信託契約を締結し、金銭等の財産を信託します。 (特定障害者扶養信託契約)

②[受益者]は、贈与税の非課税措置を受けるため「障がい者非課税信託申告書」を信託銀行等[受託者]を経由して税務署に提出します。

③信託銀行等[受託者]は[受益者]に定期的に金銭を交付します。(生活費および医療費)

万が一[委託者]が亡くなった場合でも、[受益者]が亡くなるまで信託銀行等[受託者]が引続き財産を管理・運用し、金銭の定期交付は続けられます。

受益者が亡くなったあとは ―
[受益者]が亡くなった際に、信託銀行等[受託者]に預けた財産が残った場合は、基本的には[受益者]の相続人または受遺者に交付されます。ただし、あらかじめ残った財産の交付先を指定しておけばお世話になった社会福祉法人施設などへの寄付も可能です。

6,000万円を限度に贈与税が非課税に!
通常、1年間に贈与を受けた額の合計額が110万円を超えると贈与税がかかりますが、この特定贈与信託を利用すると、特別障がい者の方については6,000万円、特別障がい者以外の特定障がい者の方については3,000万円を限度として贈与税が非課税となります。

信託財産の運用により生じる収益は、受益者である特定障がい者の方の所得となるため、所得の種類に応じて所得税が課税されます。

 


◇「生命保険信託」と「特定贈与信託」の違いについて

「生命保険信託」は多くの財産がなくても比較的少額から取り組むことができます。信託銀行・信託会社が信託財産を受益者に交付する点では特定贈与信託と同じですが、特別障がい者、特定障がい者以外でも受益者に設定することができます。また、信託財産の対象は生命保険の死亡保険金・死亡給付金に限られます。そのため、死亡保険金が支払われなければ信託契約は履行されません。贈与税非課税枠は設けられていませんが、第一受益者が委託者の法定相続人の場合、生命保険金と同様の非課税枠が適用されます。

一方「特定贈与信託」は、障がいのある方々のご家族などが、ご自身亡き後の障がい者のある方の生活を守るため、信託銀行に財産(金銭、有価証券、不動産など)を信託するものです。信託銀行は財産を管理・運用し、受益者である障がい者の方に、生活費や医療費として定期的に金銭を交付していきます。特別障がい者は6,000万円、特定障がい者は3,000万円の贈与税非課税枠が設けられています。

 


◇おわりに

ご家庭の資産状況やご親族の状況(相続人)によりさまざまなケースが考えられます。
ご自身にあった財産の管理・運用方法や非課税枠を活用し、障がいのある方の将来のために早めに準備しておきましょう。

また、成年後見制度や、福祉施設・公的機関などの利用など親亡きあとの子どもの暮らしを支援・サポートしてくれる人とのつながりを作っておくのも備えのひとつかもしれません。

(参考)

福岡市社会福祉協議会
障がいのある方の生活問題|福岡市社会福祉協議会 (fukuoka-shakyo.or.jp)  
サービスを利用したい|福岡市社会福祉協議会 (fukuoka-shakyo.or.jp)

一般社団法人信託協会 (shintaku-kyokai.or.jp)

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